明治前期における農民の生活水準
下層農民は、安定した生活基盤を農村内部にも都市にも、求めることができませんでした。
さらに明治前期の農民の生活水準を明らかにするために、前田正名の『興業意見』及び岡田良一郎の『報徳學齋家談』を基として検討しましょう。
・・・ここで注意すべきは、両者は単純に比較できないことを銘記することです。
なぜならば、前者は前田による「人民全層」の平均における生活費試算であり、後者は岡田によって示された隈民」の生活費であるからです。
両者のこの違いの重要性は次の説明でわかるでしょう。
つまり、明治16(1883)年における人民1人(ただし農家のみではない)の1ヶ年平均生活費を前田は、上等、中等、下等に分けて試算しています。
上等は、10円82銭5厘、中等は60円45銑下等は20円。
格差が大です。
また、ある調べにみる明治15年頃の統計においては、1人当り年平均生計費は、21円81銭です。
そこでごく単純に前田試算と比較すれば、この自作農家家計は、前田試算の下等に相当します。
そのため自作農家家計の水準がいかにも低く考えられるのです。