明治前期における農民の生活水準 3
明治15年頃は、このような富農層でも生活内容をみると「食費」が、生活費の7割を占め(エンゲル係数にすると67.5%で当時の農民のエンゲル係数平均約70%にほぼ匹敵している)、「食」中心の家計です。
・・・とはいえ、この自作農の場合、その他の一般農家家計と異なるのは、4町歩強の田畑山林の収益から地租、地方税と同時に学資金を差し引き得る資本の持ち主であることです。
それにもかかわらず、単なる生計費比較では前田試算の「下等」に相当してしまいあたかも「貧困家計」と想定されがちです。
土地を保有し、自作できる農民層、つまり、生産手段をもつ農民の「生計費」と生産手段を全くもたない下等人民の「生活費」。
これは、特にエンゲル係数において同数値を示していても、その生活内容においては全く異質であると考えなければならないのです。
・・・つまり、その後増大した賃労働者の「生活費」は、この自作農における「生計費」とも「生活費」とも異なる性質をもつものであること。
・・・つまり、ここに示された下等人民の「生活費」に相当するものです。
したがって現代資本主義社会における賃労働者の生活費とか生計費といわれる家計費はこの下等人民の「生活費」と同種の性質をもつものであること。
つまり、なんら生産手段を自らもたない賃金労働者生活であることを明確に把握すべきなのです。